パソコンが故障したとき、まず悩むのは「メーカー修理」か「専門修理店(または量販店窓口)」か。ここでは安心感・費用・納期の3軸で比較し、よくある故障原因、依頼先の特徴、ケース別のおすすめ、相談時のチェックポイントまでを一気に整理します。
1. 【修理前必見】よくあるパソコンの故障原因
原因の切り分けができると、依頼先の選定と見通しが大きく変わります。代表的な症状と概況を短く整理します。
1.1 ハードウェア部分が故障
マザーボード、ストレージ、メモリ、電源・充電系など。物理部品の不良・経年・静電破壊・液体侵入などが起因。部品交換や微細な半田修理が必要な場合は専門修理店が得意です。
1.2 ディスプレイの液晶がおかしい
表示ムラ・縦線・割れ・暗転・バックライト不良。液晶パネル/ケーブル/ヒンジの交換で解決するケースが多く、メーカーも専門店も対応可能。納期は在庫状況次第。
1.3 ソフトウェアが機能していない
OS破損、ドライバ不整合、ウイルス、設定起因など。データ保全を優先するなら、初期化前提ではなく保全を考慮する専門店相談が安心です。
1.4 電源がつかない
電源ボタン反応なし/LED無点灯。ACアダプタ不良、充電ICやマザーボードの電源回路不良など。基板側の診断が要るケースは専門店の分解・計測力が効きます。
1.5 異音が出ている
ファン・HDD・電源部からの異音。HDD異音は通電継続で悪化しやすいので即時停止→専門店の順が堅実。
1.6 バッテリーが劣化していて動かない
充放電回数の限界や膨張。純正指定が強い機種はメーカーが堅く、互換選択や短納期重視なら専門店が候補に。
1.7 キーボード・Webカメラの故障
キーボードはユニット交換、カメラはケーブル/基板起因のことも。水濡れ後は腐食進行があるため早めの相談を。
2. パソコン修理を依頼する先は大きく3つ
①メーカー公式の修理窓口、②家電量販店の受付(多くは提携修理/メーカー戻し)、③独立系の専門修理店です。以下で代表例を「画像上・説明下」で紹介します。
2.1 PCメーカー対応の修理
日本HP(純正窓口・保証重視派に)

出典:日本HP ヘルプページ
国内サポート拠点と純正部品を前提にした修理。保証期間内やビジネスPCの標準運用では第一選択になりやすい窓口です。検査手順や診断ツールが整備されており、設計情報に基づく確実性がメリット。
- 保証内は費用負担を抑えやすい。
- 製品別トラブルシュートが充実。
- 部品取り寄せ時は納期が延びることも。
DELL(Fix Your PC)

出典:DELL 公式ページ
ビジネス向け保守とオンサイトの選択肢が豊富。診断ユーティリティやサービスタグによる部品特定の利便性が高く、型番依存の修理整合性に強み。海外在庫の絡む部品は納期に幅が出ます。
Apple(Macの純正修理)

出典:Apple 修理ページ
Apple正規サービスプロバイダ/Apple Store経由での受付。純正部品・校正済み工程が安心材料。予約制で受付がスムーズな一方、ロジックボード交換などは費用が高めになりがちです。
2.2 家電量販店・パソコン修理専門店
ヤマダ電機(店頭受付の利便性)

出典:ヤマダ電機 サポート
全国店舗の窓口で持ち込みしやすいのが強み。メーカー戻し/提携修理の手配をまとめてくれるため、とにかく窓口を一本化したい人に向きます。工程は委託主体のため、技術相談の深掘りは限定的。
ビックカメラ(アクセサリ同時購入にも便利)

PC Fixs(秋葉原店/高田馬場店)

出典:PC Fixs 公式
編集部メモ:初手のヒアリングと工程設計が上手く、診断〜見積〜作業の段取りが短い。さらにデータ保全を前提に修理可否を判断してくれるため「とりあえず初期化」になりにくいのが安心材料。
強み
- 持込・宅配とも診断料無料(症状確定後に作業見積)。
- Windows / Mac / Surface まで横断対応。精密分解や基板修理の相談も通りやすい。
- 「症状・型番・希望納期」を共有すれば、納期の読みが早い。
向いている人
- データを残したまま直したい(復旧優先の判断含む)。
- 短納期で確実に解決したい(在庫/作業枠の事前確認推奨)。
- 他店で断られた精密案件を相談したい。
基本情報
| 受付 | 持込/宅配/出張 |
|---|---|
| 料金 | 診断料無料(作業費は症状・機種で見積) |
| 対応 | Windows/Mac/Surface/自作PC |
| 備考 | データ保全前提の方針確認が可能 |
パソコン工房(全国店舗×自作系に強い)

ドスパラ(秋葉原本店ほか:パーツ在庫が豊富)

3. メーカー修理の特徴と専門修理店の違い
メーカー修理は純正部品・設計情報に基づく再現性と保証面の安心が強み。専門修理店は基板レベルの測定・半田修理、データ保全を優先したアプローチ、短納期の柔軟性が強みです。量販店受付は窓口の利便性を担い、実作業は委託先やメーカーへ。
4. 費用・納期・安心感で徹底比較
| 観点 | メーカー修理 | 専門修理店 |
|---|---|---|
| 費用 | 保証内で有利。保証外はやや高めになりがち。 | 機種・在庫・作業難度で幅。症状に合わせ最適化できる。 |
| 納期 | 部品取り寄せ・本体輸送で長期化する場合あり。 | 在庫・人員次第で即日〜数日も。柔軟な段取りが可能。 |
| 安心感 | 純正部品・標準工程・公式保証。 | 店舗の技術力・実績に依存。レビューや事例確認が鍵。 |
| データ保全 | 初期化前提になる場面も(ケース次第)。 | 保全前提の判断を取りやすい店舗が多い。 |
5. ケース別おすすめ判断基準

- 保証内・標準仕様の軽度故障:メーカー修理が第一候補。
- 電源が入らない・液体侵入・HDD異音:分解・基板レベルの診断が要るため専門修理店が有利。
- 短納期必須:専門修理店で作業枠と在庫の事前確認。
- 周辺機器もまとめて:量販店受付が便利(工程は委託)。
6. 修理相談時に確認すべきポイント

- 症状の発生タイミング/エラーメッセージ/直前の操作をメモ。
- 保証状況・購入時期・型番(サービスタグ等)を控える。
- データ保全の優先度と希望納期を先に伝える。
- 見通し・費用目安・部品在庫・納期レンジを確認。
- 水濡れ・異音は通電を止めて早めに相談。
※ 見積や契約の詳細な成功報酬定義などの書面手続きには本記事では触れません(運用は各社により異なるため)。
7. まとめ:目的別に最適な選択を

純正の安心を取るか、短納期やデータ保全を優先するかで最適解は変わります。まずは目的(守りたいもの)を整理し、ここで紹介した窓口から2〜3社に相談・相見積を取り、費用・納期・工程説明の納得度で決めるのが失敗しないコツです。