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データ復旧依頼時の「想定費用と成功率」:実例から見るリアルな相場と勝ちパターン

復旧費用はいくらか、成功率はどれくらいか——。検索しても「軽度なら◯円〜」「成功報酬」など抽象的な表現が多く、実際の意思決定には使いにくいのが現実です。本稿では、媒体別(HDD/SSD/RAID/NAS)×障害度の視点で費用帯と時間軸を整理し、初動で成果が分かれる勝ちパターンを「やること・やらないこと」まで具体化。さらに東京エリアのおすすめ事業者を掲載し、比較検討に必要な視点を1ページで把握できるよう構成しました。
1. 相場の前提:費用が決まる5要素
「軽度なら◯円〜」という定型表現だけでは判断できません。現場では次の5要素で費用と時間が大きく変わります。
- 媒体の種類:HDD / SSD / USB / SD / RAID / NAS / サーバー。制御方式やデータ配置が異なり、必要な工程・設備が変わる。
- 障害の性質:論理(ファイルシステム損傷など)か、物理(ヘッド異常・基板損傷・プラッタ傷など)か、または複合か。
- 容量・構成:大容量・多台数・RAIDのレベル(0/1/5/6/10など)で解析の手間が変動。
- 初動の適否:通電継続・再構築・無意味なスキャンなど「NG行為」で障害が悪化するケースが多い。
- 要件(RTO/RPO):必要な納期(RTO)と、どこまでの時点のデータが必要か(RPO)で、優先作業や工程が変わる。
2. 媒体×障害度マトリクス(費用と時間の目安)
ここでは代表的な媒体について、障害度ごとの工程と費用帯(目安)・所要時間(目安)を整理します。実費は案件個別の診断に依存します。
2-1. HDD(内蔵/外付け)
| 障害度 | 典型症状 | 主工程 | 費用帯(目安) | 時間(目安) |
|---|---|---|---|---|
| 軽度(論理) | フォーマット要求、RAW化、誤消去、軽微なファイルシステム損傷 | 書込禁止での解析、メタ情報修復、イメージ化 | 数万円台〜 | 即日〜数日 |
| 中度(準物理/複合) | 断続的フリーズ、S.M.A.R.T.不良、セクタ不良多発 | 不良制御しつつイメージ化、領域別抽出 | 数十万円台〜 | 数日〜1週間+ |
| 重度(物理) | カチカチ音/カコン音、BIOS未認識、基板焼損、ヘッド/プラッタ問題 | クリーン設備での分解・調整・部品交換、ファーム領域対応 | 数十万円台〜案件次第 | 1〜数週間 |
2-2. SSD / NVMe
SSDはコントローラ/ファーム/フラッシュマッピングが鍵。電源不良や突然死、認識/未認識の揺れなど、HDDと異なる解析が必要です。
| 障害度 | 典型症状 | 主工程 | 費用帯(目安) | 時間(目安) |
|---|---|---|---|---|
| 軽度 | 誤消去、論理破損 | 論理解析、イメージ化 | 数万円台〜 | 即日〜数日 |
| 中度 | 突然死、断続認識、転送エラー | 制御レベル解析、コントローラ由来問題の回避抽出 | 数十万円台〜 | 数日〜 |
| 重度 | 基板/コントローラ故障、暗号化絡み | 専門装置での低レベル対応、ファーム領域調整など | 案件次第 | 1〜数週間 |
2-3. RAID / NAS
多台数・冗長構成・独自実装(NASベンダ固有仕様)により難易度が上がります。再構築や挿し直しは禁物です。
| 構成/障害 | 典型症状 | 主工程 | 費用帯(目安) | 時間(目安) |
|---|---|---|---|---|
| RAID1/5の論理 | 共有不可、破損ボリューム | 各ディスクのイメージ化→仮想再構成→論理復旧 | 数十万円台〜 | 数日〜1週間 |
| RAID5/6の複合 | Degraded/Failed、複数台不良 | 順序/パラメータ解析、パリティ整合、領域別抽出 | 数十万円〜案件次第 | 1〜数週間 |
| RAID10/専用筐体 | 独自メタ/暗号化絡み | 装置依存の手順、独自メタの再現 | 案件次第 | 1〜数週間 |
3. 実例で学ぶ:成功パターン/失敗パターン
実例A:外付けHDDがカチカチ音(物理・重度)
- 状況:机から落下後にカチカチ音。以降は未認識。
- やったこと:すぐ通電停止→発生日・型番記録→専門相談。
- 結果:クリーン設備での調整と専用装置での読み出しにより主要フォルダ回収。学び:通電を止める判断が功を奏し、盤面傷の拡大を回避。
実例B:RAID5がDegradedのまま再構築(複合・高難度)
- 状況:1台不良の状態で入替→誤った順序で再同期→Failed。
- やったこと:さらに再構築→パリティ崩壊。メタ情報破壊が進行。
- 結果:後日依頼で一部クリティカル領域のみ回収。学び:独断の再構築は「復旧率を決定的に下げる」代表例。
実例C:ノートPCのSSDが突然未認識(中度)
- 状況:起動不能。BIOSで認識が出たり消えたり。
- やったこと:OS再インストールは試さず停止。相談後、低レベル解析へ。
- 結果:主要データ回収。学び:再インストールやリカバリは復旧対象領域を上書きしうるため厳禁。
4. 初動の勝ちパターン(やること・やらないこと)
やること(5つ)
- 即時通電停止:異音/未認識/不安定時はまず止める。
- 記録:発生日・型番・容量・LED・管理画面の状態を記録。写真/スクショ推奨。
- 優先リスト化:必要フォルダ・締切(RTO)・必要時点(RPO)を明文化。
- ログの保全:読み取り専用でイベントログ等を採取。
- 専門相談:初動でNG操作を増やさないために、方針だけ先に決める。
やってはいけないこと(5つ)
- 再起動の連打/再構築の試行/ディスクの抜き差し
- chkdsk等の書込み系修復を焦って実行
- バックアップや復元の上書き(ベースを壊す)
- 分解・冷凍・叩くなどの民間療法
- 「安く済むなら」で軽率に業者を梯子(状態悪化の連鎖)
社内周知テンプレ(コピー可)
【発生日時】10/XX 15:20 【媒体/構成】NAS(RAID5)4ベイ / Disk3異音 【症状】共有不可、管理画面にDegraded表示 【初期対応】通電停止・写真記録・ログ退避 【優先】RTO24h / RPO12h(営業共有・請求書フォルダ最優先) 【禁止】再構築/挿し直し/chkdsk/長時間自己診断
5. 見積の読み解き:成功定義・追加費用・納期の確認
「成功報酬」と書いてあっても、何が“成功”なのかの定義が曖昧だとトラブルの種になります。契約前に以下を文面で確認しましょう。
| 項目 | 確認ポイント | 良い例 |
|---|---|---|
| 成功の定義 | 階層/ファイル数/優先フォルダの可読性など、具体性があるか | 「指定フォルダA/B/Cの読取可否で評価。不可の場合は成功報酬なし」 |
| 追加費用条件 | 部品交換・クリーン作業・再作業・納品媒体費の扱い | 「部品代は上限〇円、越える場合は事前合意」 |
| 所要時間/優先作業 | RTOに応じた優先/夜間対応の可否 | 「優先枠で初日着手、見込みを毎営業日報告」 |
| 情報セキュリティ | 媒体の保管/搬送/入退室/監査ログ | 「施錠保管、持出禁止、アクセス記録保持」 |
| 納品/検証 | リスト提示、サンプル検証、媒体返却ルール | 「事前リストで確認→暗号化HDDに納品」 |
6. 契約前チェックリスト(保存用)
- 成功定義・追加費用・再作業条件が文面で確認できる
- RTO/RPOと連絡頻度の合意(例:毎営業日/都度)
- 媒体の保管・搬送・入退室・アクセスログの方針
- 見積の範囲:診断費/作業費/部品費/納品媒体/返送費
- 担当窓口の連絡先・営業時間・緊急対応の可否
- 納品形式(暗号化HDD等)・検証方法・検収条件
- 案件終了後のデータ保持/破棄ポリシー
7. セキュリティ・機密保持の確認ポイント
復旧工程では機微情報の閲覧可能性が生じます。費用と同等に、運用の堅牢さを評価してください。
- 媒体の持ち出し禁止、施錠保管、アクセス記録
- 立会/遠隔での検証手順、録画・画面共有のルール
- 外注の有無(重度物理やスクラッチ対応は外注が多い領域)
- 暗号化やパスワード取り扱いの手順
- 終了後のデータ消去・媒体返却・証跡
8. 東京のデータ復旧業者ランキング
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1秋葉原データ復旧スクラッチラボ

出典:https://media-sos.com/ - ✓HDD/RAID/NASの3本柱に強み。特にHDD物理故障・プラッタ傷(スクラッチ)・ファーム領域対応など高難度領域での技術力を公開情報ベースで確認可能。
- ✓世界的に認められた専用装置(例:PC-3000系)を活用し、微細な障害解析や低レベルでの抽出を実施(公開情報ベース)。
- ✓「他社で不可」案件の相談先として、緊急時もアクセス良好な秋葉原の立地。
- ✓成功定義・追加費用条件を文面化しやすい体制(公開情報ベース)。
利用者の声(Googleレビュー)
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2LIVEDATA

出典:https://www.livedata.jp/cdp/ - ✓HDD/SSDを中心に幅広い受付(公開情報ベース)。
- ✓秋葉原近接の利便性。
- ✓見積・納期は症状次第。成功定義の文面確認を推奨。
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3AOSデータ復旧サービス

出典:https://www.data119.jp/ - ✓媒体種別が広く、全国からの相談に対応(公開情報ベース)。
- ✓プロセスを分かりやすく案内(公開情報ベース)。
- ✓成功報酬/追加費用の条件は契約前に文面確認を推奨。
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4データ復旧クイックマン

出典:https://www.quickman-pc.com/ - ✓都内複数拠点で相談しやすい(公開情報ベース)。
- ✓軽度障害/初期診断の窓口として検討しやすい。
- ✓作業範囲と費用の事前合意を推奨。
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5アドバンスデザイン

出典:https://www.a-d.co.jp/datarecovery/agt/dr1171129/ - ✓法人/複雑案件の相談実績(公開情報ベース)。
- ✓要件定義と検証方法の文面合意を推奨。
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6PCエコサービス

出典:https://www.pceco.info/ - ✓地域密着の相談窓口として利用しやすい(公開情報ベース)。
- ✓クリーン設備が必要な重度物理には非対応のケースあり(公開情報ベース)。
記載内容は公開情報をもとに編集部が整理。実際の費用・可否・納期は症状診断後の各社見積をご確認ください。
9. よくある質問
Q. 成功率はどのくらい?
A. 成功率は「個別状態」に依存します。HDDの論理障害は比較的回収可能な範囲が広い一方、プラッタ傷(スクラッチ)等の重度物理は装置・環境・技術の差が結果に直結します。初動での通電停止とNG操作を避けることが成功率の土台です。
Q. 見積を比較する時のコツは?
A. 「成功の定義」「追加費用の条件」「優先作業の有無」「連絡頻度」の4点を文面で比較してください。金額だけの単純比較はおすすめできません。
Q. どの媒体が高くなりやすい?
A. RAID/NASの複合障害や、HDD重度物理(ヘッド/プラッタ/スクラッチ)は工数・装置・部品の都合で高額化しやすい傾向です。
Q. データのセキュリティが心配です。
A. 媒体の保管・搬送、入退室管理、アクセス記録、外注の有無、データ保持/破棄ポリシーを契約前に確認しましょう。暗号化納品も選べます。
10. まとめ:相場に振り回されず結果を最大化する
データ復旧の費用と成功率は、媒体×障害度×初動で大きく振れます。だからこそ、「止める・記録する・任せる」の三原則が最もコスパの良い戦略です。RAID/NASやHDD重度物理のような高難度案件では、設備・装置・手順・ファーム領域への理解が結果を左右します。東京エリアには、HDD/RAID/NASに強みを持ち、公開情報ベースでも技術と運用の丁寧さが確認できる事業者が存在します。本稿のランキングを出発点に、成功定義の明文化とNG操作の回避で結果を最大化してください。





